地下の攻防戦 頑張れあずまモグラ
多摩川はかつて暴れ川と呼ばれていました。
台風等で増水した水の勢いは、右に左にと大きく蛇行し、流れを変えていたからです。
川崎側に等々力、古市場との地名がありますが、これはかつて世田谷区の等々力や大田区の古市場(いまは古市)地区と地続きであった時代の名残です。反対に下丸子エリアが川崎の地続きだった時代もありました。
氾濫を繰り返していた多摩川ですが、昭和の初めに両岸に土手が築かれ、その後河川敷が冠水することはしばしばあれ、住宅地が浸水被害を被ることは無くなりました。調布取水堰壁面に多摩川が増水した時の記録が記されています。記憶に新しい記録では平成19年9月7日、(上昇した水位が)8.60mと記されています。

さて、多摩川には多くの生き物が生息していますが、実はほぼ目にすることがない生き物もいます。(自分も見たことがない)晩秋から早春にかけ背の高い草が枯れ地面が見えるようになると、土が掘り起こされたように所々に柔らかく盛り上がった土を目にすることができます。
地中に暮らすモグラがトンネル工事をした時の残土です。結構あちこちにあり、これを「モグラ塚」と呼びます。モグラが活動している痕跡です。
日本には20種類のモグラがいるそうですが、関東に住むモグラの代表格は中型のアズマモグラ。ちょっと気になる話があります。それは、関西にすむ体格に勝るコウベモグラがじわじわと北上してきているとの話です。地下ではアズマモグラとコウベモグラの攻防戦が箱根以南で日夜繰り広げられているのです。コウベモグラに箱根の山を越されたら、多摩川のアズマモグラはコウベモグラに駆逐されてしまうでしょう。モグラの世界もなかなか厳しいですね。
安穏と穴を掘っているわけにはいかないようです。
頑張れアズマモグラ。