蒲田の音楽仕掛け人星埜ひろしさんの事

池上線蓮沼駅近くのイベントスペースtransitCafé☀Colorsに集うカラフルな仲間たち

「人の器」という言葉があり、それが大きいということ が良いこと…とされているが、

では一体、人間の器とはなんだろう?

星埜さんという人を見るたびに、そんなことを考えてしまう。

星埜さんのことは「器の大きな人だ」と、口を揃えてみんなが言うし、私もそう思うのだが、

 

その理由はなんだろう?

 

そんな 星埜さんからの寄稿と、

そして ちょっとばかり不思議な繋がりが出来上がった  colorsと星埜さんの関わり合いを書かせていただく。

池上線蓮沼駅から徒歩1分の、3階建ての古い小さい民家の1階に、私が代表を務める「バリアフリー社会人サークル」が運営するイベントスペース【TRANSIT☀︎CAFE  colors】がある。

障害の有無や人種や年齢に関係なく、誰もが来られる配慮を付けたイベントスペースだ。

音楽ライブ・トークライブ・いい加減な飲み会・占い・落語・様々な教室・無農薬減農薬野菜直売、などのイベントを月に10本ほど開催している。

 

この場所は、15人入ればもう超満員!!!という狭さ故の、可愛らしく暖かく人同士が触れ合うことができるスペースだと自負している。

colorsは、スタートしてから4年目。

年間来場者はのべ700人、そのうち来場者の4割が障害者。colors代表の私も身体障害者である。

なぜ、こんなに こんな小さな場所でこんなに長くイベントスペースが続いているのか?

その理由は、ここに来た誰もがびっくりするほどの 多種多様な人が集まっているから。そして 「てきとー」で「ゆるゆる」だから。そして、それを認め合うことができる人たちが集まってるから、、、に他ならない。

その 魅力的な人たちを時たま、このIKETAMAで紹介していければ良いなと思っている。

 今回は星埜ひろしさん。

星埜さんという人は、本職は一級建築士であるが、

蒲田中心に 様々な音楽イベントのプロデュースをし、自らギターを弾いてステキな歌姫たちと共にライブをすると言う 多才な人である。

福祉関係者ではない。

障害者と友達になったこともなかったそうだ。

そんな星埜さんと、colorsが巡り合ったご縁のことを、星埜さんご自身に書いていただいた。


Transitcafe colors と出会いで変わったこと

僕は福祉分野にとりたててかかわりがあるわけでもなく、ボランティアに熱を上げているわけでもない。何か使命や正義感に駆られて福祉に係ったり、声高に制度の矛盾を叫んだりもしない。

しかしながら、ひょんなことから、蓮沼の小さなコミュニティカフェ colors に係ることになり、毎月第一火曜日の夜、「寅屋ライブ」というオープンマイクイベントで司会と参加者の伴奏係りをしている。

このカフェは、3 階に重度知的障害者のげんちゃんが 24 時間、ヘルパーの支援を受けながら自立して住み、2 階は共用のダイニングともう一部屋。ここは、貸部屋で今までもヘルパーさんや、若きジャーナリストさんが間借りして生活してきたシェアハウスだ。

1 階は何かイベントがあるとオープンするカフェで、僕は、件のオープンマイクに 4 年位前に誘われた。

 

もともと、音楽活動は若いころの趣味が高じて、社会人の今でも幅広くやっていて、JAZZや Rock や poos、昭和歌謡などジャンルの壁を設けず、気に入ったものを演奏してきた。

バンドスタイルから少人数のアコースティックユニットまでなんでもやるんだけど、いつも演奏場所や面白いイベントにアンテナを張っている。

そして音楽を楽しみながら仲間と過ごすのが好きなんだなぁ。若い時と違って、一方的に演奏を押し付けることもなくなり、むしろ居心地のいい場、楽しい場を作るために、イベントや空間づくりまでお手伝いするようになっていった。

そして、楽しい場にはお酒がつきもの。僕は強くはないけど、みんなと楽しくお酒を飲むのも好きだから、愛すべき蒲田には行きつけの立ち飲み屋やバーやカフェがあちこちにできた。

 

Colors の関係者とはたぶん、蒲田の「最後の楽園レバーランド」という立ち飲み屋で出会ったんだと思う。とてもフレンドリーでリーズナブルな立ち飲み屋は、若い店長が切り盛りして、世代を超えたお客さんが集まる。それで自然とコミュニケーションが生まれ、

ここで結ばれたカップルも何組もいるほどだ。

もともと店名の通り、レバー刺しを売りにしていたんだけど、どっかの食中毒が原因で、法律が厳しくなって、残念なことにレバー刺しは食べれなくなったけど、お店も逆境を乗り越えて、今では、串揚げやオリジナルメニューに磨きがかかり、蒲田の繁盛店の一つになっちゃった。

この立ち飲み屋で、お店が開店して数か月しかたたない頃にライブイベントを開催した。

僕も以前同じことやってたお店が閉店して、またできそうなところ探してた矢先で、若い頃バンドやってたというマスターと意気投合して、狭い立ち飲み屋に音響機材や楽器を持ち寄ってお客さんとミュージシャンがひしめくライブとなった。

これがなかなかの人気で、時には満員電車のような有様に。僕も地元のミュージシャンに声かけて、いろんな人に遊びに来てもらった。

たぶんそんな中でカラーズの管理人の石川さんやげんちゃんを支援するガイドヘルパーの中村さんなんかと知り合ったんじゃないかな。

あるとき colors でもライブをやるので演奏に来てほしいってなことを言われて、そんじゃまあ一回くらい行ってみようかなって感じで行ったと思う。

 

最初は、出演者として行った。僕が一緒にやっているアコースティックユニット「みさ&ひろし」で行って 3 曲くらい披露した。

 

Colors の話は少しは聞いていたけど、げんちゃんとはそこで初めて会った。

日常生活の中で、重度の知的障害者やいろいろな障害を持った人たちと付き合う機会は少なかったから、最初は少し戸惑った。

げんちゃんを中心に 15 人位の人たちが集まって、ミュージックライブを楽しむ。何かミュージシャンとして楽しい時間や感動を与えなければならないのかな?

僕たちが演奏したら、みんなどう感じてくれるのかな?受け入れてくれるのかな?少し不安も同居する中で演奏した。

重度知的障害者のげんちゃんが、どの程度音楽を理解し、何かを感じ、コミュニケーションがとれるのかわからないまま演奏した。

げんちゃんはどうやら音楽が気に入ると、体を自分のリズムで左右に揺らす。それがどんどん激しくなって、隣の人とぶつかりそうだ。言葉にならない声を発して体を左右に揺らす。

みさちゃんが歌ったときは体は揺れなかった。彼女のきれいな声に聴き入っているようだった。

そして、誰かが「げんちゃんが泣いてる。げんちゃん歌聴いて泣いたの初めて」というようなことを言った。

何か、いつもと違う何かを感じ取ったのかな?僕たちは果たして何かの役に立ったのかはわからないけど、なにかげんちゃんの中にいつもと違う化学反応がうまれたのかもしれない。頭では分かっているけど、音楽に何かの「力」があるのかもしれないとこの時実感

した。

 

ここで初めて演奏したときの印象はこんな感じだった。その後、僕は毎回、だれか違うミュージシャンを連れて、月 1 回演奏に伺うようになった。Mel&hiroshi、星と愛、shinさん、、、しかし、月一回とは言え、あれこれ忙しいミュージシャンを毎回連れてくることは難しい。僕は当時は嘱託の会社員で、自由になる時間が結構あった。だからほぼ毎月通うことができた。それにミュージシャンは僕たちだけでなく、いつも数組が来ていたし、そんなこんなで、いつしか演奏は他の人に任せ、むしろミュージシャン以外の参加者の伴奏をするようになり、いつのまにか司会進行までまかされるようになっていた。

司会進行では、できるだけ、参加者がまんべんなく歌を歌ったり、踊ったり、なにかを披露する機会を作るようつとめている。でも、なかなか難しいもんだね。これは今後の努力課題です。

 

最初の頃は、げんちゃんが中心で、げんちゃんを取り巻く支援者や友人知人のイベントのような感覚でいたのだけれども、ここに集まる人達は、実に多彩で個性に満ち溢れている。

知的障害者もいれば視覚障害者もいれば、身体障害者や難病の人、、、勿論健常者もいる。でも、僕が参加し始めた頃と今では、自分の中にも変化が生まれたと思うな。

○○障害者とか△△障害者とか、何か障害で人間をカテゴライズすることの無意味さ、、、当たり前だけど、僕が人と付き合うときは、そんな分類で人を区別してない。そして、そもそも障害者と健常者というくくり、、これだって不自然だ。

Colors でみんなと出会うときは、そんな分類はない。ただ、そこに集まって楽しい時間を過ごすだけ。

それが自然のことだ。

確かに、福祉制度やサービスの面からは、いろいろな分類や区別が必要になるかもしれないけど、それは、人間を区別する物差しにはならないんだよね。

そこにいる人たちは、言葉がしゃべれなかったり、足が一本なかったり、目が見えなかったりするけど、付き合えば同じ人間。ただ、少し足りない部分にみんなが少し気を配って、普通に楽しく過ごす。それだけのことだね。

いろんな人が今ここにいるのはごく普通のことだね。

そんなことを普通に思えるようになってきたのが、僕の中の変化かもしれないな。

 

星埜 洋


colorsの入るTRANSIT☀︎YARDとは、3階建ての古い民家である。

その2階には半年前まで コロンビアを撮り続けるフォトジャーナリストが住んでいたが、彼は結婚を機に茨城へと引っ越して行った。

 

現在は、このフォトジャーナリストが暮らした2階の部屋を 星埜さんが事務所がわりに使えるようにと、センス良い部屋へと自ら日曜大工で改築中である。ひどく古い民家が、星埜さんの手で生まれ変わりつつある。まるで、ライブを聴きに来ただけで歌うつもりのなかった人たちが、星埜さんのギターと気遣いに乗せられて、ついステージに立ってしまうのと同様の、星埜マジックが、ここにも発揮されてきた。

今後、オシャレなパッチワークのデザイナーチェアを揃え、壁には収納式の簡易ベッドを手作りするらしい。

 

なんでも楽しくやれること。

 

好奇心と親切心が強いこと。

 

どんな人にも平等に接すること。

 

そして 本当に行動していること。

 

これが 星埜さんがみんなに慕われる理由だろうし、人間の器の大きさの測りどころなんだろう。

 

この星埜さんが、今後このcolorsをどのように使って みんなを楽しませていくのか?

 

新たな蓮沼の音楽環境を作って行くのか?

非常に楽しみなことになってきて、嬉しく思っている。

 

(バリアフリー社会人サークルcolors代表  石川明代)

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