『最後の楽園 レバーランド』 店長 本多広大さん 5,000字インタビュー ②

蒲田西口「飲食」を駆け抜けた日々

●21歳 最初の転機

お笑いの世界で成功するのは簡単なことではない。

先輩芸人のステージの手伝いと居酒屋のアルバイト。本多さんは何にも縛られることなく生きていたものの、

「このままじゃだめだっていつも思っていました。このころはいつもなにか不安でした」

養成所は1年でやめていた。

その頃、良く通っていた『てっぺん』という居酒屋が渋谷にあり、どのスタッフも、みなよく働く活気ある居酒屋だった。

「その店は、皆が一緒の方向に向かっている感じがあったんです。チーム感っていうんですかね。その中に入って働いてみたいという気持ちがだんだん強くなりました。そこで思い切って、ここで働かせてくださいとお願いしたんです」

ここから本多さんの人生は大きく転換していく。

「たまたま、『てっぺん』の副社長が独立して店を出すって時だったんです。それなら社員にならないかって言ってもらって……、それで就職を決めました」

店の名前は『叶え家』。場所は蒲田の西口。そう、本多さんが蒲田と縁が繋がった最初の店だ。

「寮があるって聞いていたんですけど、会社が借りた部屋に5、6人がすし詰めで寝起きするような所で。この頃が一番きつかったんですが、みんなが同じ志をもってゼロから店を作っていくことは本当に楽しかったです」

『叶え家』は席数70、大きな店だった。本多さんは主にホールを任せられた。お笑いをあきらめたというよりは、むしろ積極的な人生の転機といえる。

●新店舗を出す話 迷わず店長に立候補する

『叶え家』オープンからわずか1年半、さらに新しい店を出す計画が出ていた。本多さんは迷わず店長に立候補した。

「もう勢いだけでした。でも不安はなかったです。社長もやる気があるならやってみろ!とまかせてくれました」

新しい店のコンセプトは「レバーをだす立ち呑み屋」。仕入れルートを探したり、その日のメニュー構成を考えるのもすべて本多さん。チラシの制作まで手掛けた。一料理人にとどまらず、様々な仕事を担っていく本多さんは、店長としての資質を十分に兼ね備えていたのだ。

 

●『最後の楽園 レバーランド』誕生へ

2011年1月、『最後の楽園 レバーランド』が誕生する。本多さん22歳の時だ。

日に30食以上出る「豚のレバ刺し」が看板メニューの店。

「『叶え家』の常連さんたちが応援してくれて、『レバーランド』をいろんな人に広めていってくれました」

口コミで新規の客も増えていった。店の提灯には「第2の我が家」の文字。 我が家のようにふらっと立ち寄っていく常連たちが、その後の本多さんを支えていく。

この時の本多さんにはこれから遭遇する危機を想像することはできなかった。

 

●最初の危機 『叶え家』が廃業

「レバーランド」がオープンして2年を過ぎた時のこと。本店『叶え家』が廃業してしまう。『叶え家』が経営する店には、『レバーランド』とほぼ同時期にオープンした『ピザランド』という店がある。店長は『叶え家』時代から一緒に働いていた高野真広さんだ。

「『レバーランド』や『ピザランド』が好きで、店を贔屓にしてくれるお客さんがいる。この店をなくすのは絶対に嫌だと二人で話したんです。そして『レバーランド』と『ピザランド』を二人で買い取ろうと決意しました」

しかしその金額は並大抵のものではない。レバーランドには銀行員や、会計コンサルタントといった常連も多い。それこそ飲食店を経営している人もいた。

「10人に話したら、10人がやめておけと言いました。金額も金額だったんで……」

本多さんも心が折れかけたという。そのような中、本多さんの父親だけが「やってみたらいいだろう。たとえ、こけても一生働けばいい」と彼の背中を押してくれた。

こうして、本多さんと高野さんは借金をして二つの店を買い取った。

『ピザランド』の前にも多くの人が集う
『ピザランド』の前にも多くの人が集う

●1日だけの小さな飲み会

2013年3月。本多さんは『レバーランド』の雇われ店長から経営者となる。怒涛の日々の中、店を休んだのは3日間だけ。その1日だけを本多さんは常連を招いて小さな飲み会を開いた。店を買い取ったことの報告会を兼ねて。

「『叶え家』時代からの常連さんや『レバーランド』のオープンの時からずっと応援してくれている人たち、俺のゼロからを知っている人たちが皆集まってくれました。反対していた人も応援してくれていて。うれしかったです。あの人たちがいなかったら今の自分はいないですから」

宴は朝まで続いた。この日の皆の顔を本多さんは一人一人しっかりと覚えている。決して忘れることはないという。


 

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